敏感な不登校生徒の扱い

不登校とは

学校に通わなくなる不登校とはどのような定義なのでしょう。

よく定時制や通信制高校に在籍している生徒は中学校で不登校だった、という話を 聞きますが、この不登校とはどんな状態のことを言うのでしょうか。 漠然と「登校拒否をしている、しかも継続中の生徒のことじゃないの?」という のがその答えだと思われていますが、実はしっかりとした定義があります。 文部科学省によれば年間で30日以上欠席していることが不登校の条件となって おり、その理由も病欠や家庭の経済的なことが原因だと除外され、心理的な原因で 登校しない、できない生徒のみが不登校と認定されています。 家庭の事情で頻繁にお引越しをしているから学校に通う日数が少ない場合や、 病弱で入退院を繰り返しているせいで出席日数が人よりも大幅に少ない生徒は、 不登校の定義からは外れるのです。 一年間で50日欠席しても、その理由が手術を受けたためだったりならば世間で いわれる不登校とは違う扱いとなるのですが、これはイメージ通りかと思います。 ワイドショーで取り上げられることも多い不登校の生徒ですが、学校でいじめに あったり対人関係で悩みを抱えているケースが多く、また社会的な要因で学校に 行くことが困難と解説されていますが概ねその通りでしょう。 ニュースになるくらいには社会問題になってきたこの不登校ですが、実際にはどの 程度の数の生徒がこれに該当するのでしょうか。 小学校では約2万人、中学校では約10万人、高校では約5万人いると言われており、 一時期爆発的に膨れ上がりましたが最近では少しだけ減ってきたとされています。 これは国が対策をしたからというのではなく、ただ少子化により生徒の総数が減少 したためで、パーセンテージだとそれほど変わっていないとのことです。 生徒数は減っているのに不登校の生徒が増えていたら大変なことですし、該当する 生徒が減っているからと安心できる状況ではないのです。 では年間30日以上も登校を拒否して自宅に引きこもったり、繁華街のゲーム センターをブラブラする生徒は、学年でいうとどのように分布しているのでしょう。 小学生はかなり順調に通学しており、特に低学年の間は無邪気なためか不登校になる ような生徒はほとんど見当たりません。 友達と喧嘩をしてもすぐに仲直りしますし人間関係で深く悩むこともないので、 学校が大嫌いになる特別な理由がなければほとんど毎日通学してくれます。 しかし思春期真っ盛りの中学生になると、もうクラスに1人や2人は学校にやって こない生徒がいるような事態となります。 特に3年生にもなると義務教育最後の年ですし、このまま就職すればいいと考えて 軽い気持ちで登校を放棄する生徒が増えるようです。 もしもその気持ちが揺らいでやっぱり進学したいと考え直したのなら、通信制の 高校に進んだりと人とは違う道を歩まなければなりませんが、まだそこまで真剣に 先の事を計算できていないので安易に不登校生徒になってしまうのです。 この傾向は高校でも続きますが、中学とは違ってピークは1年生、そこから徐々に 減少して3年生にもなるとほとんど見かけなくなります。 これは高校が義務教育ではないからで、不登校のまま高校3年生になる前には大半 の生徒が自主退学をしているからの結果でしょう。 高校1年生から登校しなくなった生徒は、全日制だと2年生に進級することも難しい ですし、そのまま3年生になれる可能性もほとんどありません。 落第してもう1度1年生をやり直すことになった場合、義務教育じゃないんだから 中途退学する選択をするのが普通なのです。 その後定時制や通信制の高校に通ったり高卒認定を受けて大学受験を目指す生徒も いますが、一度不登校になったらその学校に在籍している間に復活することは、 よほど良い教師に巡り会えたり強靭な精神の持ち主でない限り困難であるとされて いますので、そうしたルートが用意されるようになったのでしょう。